
クイーンズランド工科大学(QUT)の建築デザイン分野は、実務重視の教育と高い評価で世界中の学生から人気があります。特に日本の学生にとっては、高校成績や英語力などの入学要件が気になるところ。本ガイドでは日本人学生向けに、QUT 建築デザインの入学条件から学びの内容、プログラムの強み、卒業後の進路、奨学金までを紹介します。
1. Admission requirements for Japanese students
学力要件:
QUT 学部(Bachelor)に出願するには、日本の高等学校を卒業し、良好な成績が必要です。一般的に5段階評価で平均3.5~4.0以上が目安です。これはATAR 80.00 相当の学力レベルにあたり、高校内で上位の成績が求められます。
なお、日本の大学入学共通テスト(EJU)の成績は必須ではありません。QUT では高校成績と英語スコアを中心に総合的に審査します。
英語要件:
国際学生は IELTS 総合6.5(各セクション6.0以上) の英語力が必要です。TOEFL iBT 79 点など同等スコアでも可。スコアが足りない場合は、QUT 付属の語学コース経由での条件付き入学も検討できます。
その他:
日本人向けの入学筆記試験はありません。成績が基準に届かない場合は、ファンデーションや QUT College のディプロマを経由して学部に編入する進学ルートもあります(所定成績を満たせば学部進学を保証)。

2. 学修情報:学士・修士プログラム
QUT の建築デザインは学士(Bachelor)と修士(Master)で構成。学士は基礎設計力を養う3年制、修士は建築士資格取得へ進む2年制です。どちらもブリスベン中心地のGardens Point(ガーデンズ・ポイント)キャンパスで開講されます。
✅ 建築デザイン学士(Bachelor of Architectural Design)
- 修業年限: 3年制・フルタイム。1年2学期制で運営(パートタイムは主に国内学生対象)。
- 入学時期: 毎年 2月(S1)/7月(S2) の年2回。学年暦に合わせて出願。
- キャンパス: Gardens Point。都心立地で産業アクセス良好。
- 授業料: 年間 A$39,200~43,300 目安(2025年 A$39,200、2026年 A$43,300)。※毎年わずかに改定あり。
- 学力要件: ATAR 80.00 相当の高校成績。日本の学生は5段階平均4.0 前後なら有利。QUT は海外学生の高校成績のみでの出願を受け付けています。
- 英語要件: IELTS 6.5(各6.0以上)/TOEFL iBT 79 など同等。
※QUT College の建築系ディプロマ修了者は、最長1年分の単位免除で学士課程を2年で修了できる場合があります。
✅ 建築学修士(Master of Architecture)
- 修業年限: 2年制・フルタイム(学士修了後に追加2年で修士取得)。
- 入学時期: 2月/7月(年2回)。
- キャンパス: Gardens Point(学部と同施設・スタジオを活用)。
- 授業料: 年間 A$41,600~44,700(2年間合計の目安は約 A$83,000~89,000)。
- 入学要件: 関連分野の学士学位必須。GPA 4.5/7.0 以上(概ね65%)が目安。海外学位の場合はポートフォリオ提出が必要。QUT 学部卒で GPA 4.5 以上なら自動的に入学許可が出る制度あり。
- ポートフォリオ: 大学課題から最良の設計作品4点以上を英語で編集。図面(平面・立面・断面)やレンダリングを含め、設計能力を示す構成に。
- 英語要件: IELTS 6.5(各6.0以上) 相当。

3. QUT 建築デザインの強み
✔ スタジオ中心の実践教育
理論に留まらず、制作ワークショップやデザインスタジオで模型制作・設計課題を実施。専門テクニシャンが常駐する最先端のファブ施設で、1対1の指導や充実したフィードバックを受けられます。実務型の学習環境で創造性と課題解決力を現場で鍛えられるのが特徴。
✔ 産業連携とインターン
現役の建築家・デザイン実務家が教育に参加し、実プロジェクトを通じてネットワーク構築を支援。学部在学中に最低100時間の実習(WIL)が課され、インターンや現場見学で職務経験を積めます。卒業後の就職競争力に直結。
✔ 国際的評価
QS世界大学ランキング(分野別)で建築・建設環境分野世界150位以内/豪州上位に位置。100年以上の建築教育の歴史、AIA(豪州建築家協会)認証カリキュラムなど、実務即戦力と創造性で高い評価を得ています。
✔ 最新トレンドを反映
サステナブルデザイン、BIM(Building Information Modeling)などのデジタル設計、スマートシティなど最前線のトピックをカリキュラムに統合。都市計画や建設マネジメントとの学際連携プロジェクトも豊富で、横断的なスキルを育成します。

4. 卒業後の進路・展望
✔ 高い就職率
QUT 建築系卒業生は豪州トップクラスの就職率を誇ります。Graduate Outcomes Survey 2023でも正規雇用率が全国上位。学部修了後はジュニアデザイナー/CAD オペレーター/インテリア設計補助等で即戦力採用の道があり、修士まで進めば**登録建築家(Architect)**としてのキャリアを開始できます。
✔ オーストラリア就労・移民
建築家は**技術移民(ANZSCO 232111)**対象職種。修士修了後、AACA(豪州建築家認定評議会)のスキルアセスメントを経て、条件を満たせばSkilled Independent Visa(Subclass 189)など永住権ビザに挑戦可能。ブリスベンをはじめ大都市では建築・都市開発案件が多く、国際卒業生の採用も活発です。
✔ グローバルキャリア
QUT の学位と英語での学修、国際的なチームでの協働経験は、海外のデザインファームでも強みになります。卒業生は豪州に限らず日本・アジア・中東などで就職・進学・研究と幅広く活躍。AACA のAPEC Architectプログラム等により、国際的な相互認証のチャンスも視野に入ります。
✔ 2032年ブリスベン五輪の追い風
開催準備に伴う大型インフラ投資が進行中で、今後10年は建築・土木分野の求人増が見込まれます。競技施設整備に向けた国際設計公募も実施され、若手建築人材の需要が高まる見通し。QUT で学べば、五輪関連を含む地域開発プロジェクトへの参画や就職の可能性が広がります。

5. 奨学金・サポート
✔ International Merit Scholarship
成績優秀な新入留学生に対し、在学期間中、各学期の授業料25%を減免。学部・修士とも対象で、在学中の成績基準を満たす必要があります。多くは出願と同時に自動審査され、合格通知と併せて案内が届きます。
✔ International Talent Scholarship(2026年新設)
学業達成度の高い国際学生を対象に、各学期の授業料20%を減免。学部・修士の新入生が対象で、成績維持を条件に卒業まで継続されます。こちらも多くの場合、自動的に審査されます。
✔ その他の支援
特定地域対象や QUT College 経由進学者向けの奨学金、在学中の表彰・研究助成など、経済的負担を軽減する制度が多数あります。ディプロマを好成績で修了し学部へ進む場合、追加の学費減免が付くケースも。
QUT の建築デザインは、実務教育・産学連携・国際的評価の三拍子がそろったプログラム。日本で建築を学んだ方も、QUT ならグローバルに通用する設計の専門家へと成長できます。留学は大きな挑戦だからこそ、準備が肝心。本ガイドが QUT 建築留学を検討する皆さんの一助になれば幸いです。ブリスベンで広がる未来、応援しています! 📐🌏